令和六年 新指定国宝・重要文化財を追加しました!
先月文化審議会で答申のあった、新指定の国宝・重要文化財(美術工芸品)をデータベースに追加しました。6件が国宝に、36件が重要文化財に新たに指定される見通しです。 (ページ下部に一覧があります。)
いくつかピックアップしてご紹介していきましょう。
(文化庁文化財デジタルコンテンツ)より引用。
まずは新たに国宝仏が誕生しました。京都、大報恩寺の六観音像と地蔵菩薩像です。これらの像は鎌倉前期の慶派仏師、定慶とその周辺の慶派仏師によって造られたもので、もともとは室町幕府三代将軍、足利義満が造営した北野天満宮の経王堂に伝来したものです。大報恩寺は鎌倉時代の慶派の仏像の宝庫として仏像ファンに知られる存在でしたが、満を時して国宝仏が誕生しました。
(Wikipedia)よりCreative Commons 0のもと引用。
考古資料・古文書からは、古代律令国家の東北支配の拠点、多賀城関係の文化財の指定が目立ちました。多賀城の歴史を記した奈良時代の石碑、「多賀城碑」が国宝に指定されたほか、瓦・土器などの遺物や木簡・漆紙文書などの出土品が重要文化財に指定されました。いずれも奈良時代から平安時代の東北情勢を研究する上で第一級の資料となるものです。
(Colbase)より引用。
近年続々と所蔵品が国宝・重要文化財に指定されている、宮内庁三の丸尚蔵館のコレクションからは、「和漢朗詠集(雲紙)」が国宝に、「天子摂関大臣影」「太平楽置物」などが重要文化財に指定されました。このうち天子摂関大臣影は、平清盛や後白河天皇などの教科書でお馴染みの肖像画が載っているもので、見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
著者撮影。
考古資料としては、新たに「三重県宝塚一号墳出土埴輪」が国宝に指定されています。なかでも注目なのは葬送儀礼で用いられたとされる船形埴輪で、国内最大規模かつ、最も装飾性に富んだものであると評価されています。
道長願経(今回国宝指定されたものとは異なります。)
(Colbase)より引用。
大河ドラマ「光る君へ」へでも注目の藤原道長ゆかりの文化財としては、奈良県吉野の金峯山に営まれた金峯山経塚の出土品があります。道長が自ら写経した法華経を含む出土品が、「金峯山経塚出土紺紙金字経」として国宝に指定されました。
これらの新指定文化財の一部は、4月23日(火)〜5月12日(日)に東京国立博物館の企画展示「令和6年 新指定 国宝・重要文化財」で展示されます。
新たに重要文化財に指定された福井、八坂神社の「木造牛頭天王坐像/木造女神坐像」などは通常なかなか拝観が難しいものですので、ぜひこの機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。